診断つき:もう限界?「保育士やめたい」と思ったときのチェックリスト&その後の選択肢

Uncategorized

毎日、園に向かう足取りが重い。朝目覚めた瞬間から、今日の仕事のことで頭がいっぱいになってしまう。「もう限界かもしれない」と思いながらも、「でも、本当に辞めていいんだろうか」と悩んでいる保育士の方は少なくありません。

保育の現場で働いていると、こうした気持ちになる瞬間は誰にでも訪れるものです。ただ、今感じている辛さが一時的な疲れによるものなのか、それとも本当に環境を変えるべきサインなのか、自分ではなかなか判断しにくいものですよね。

今回は、今のつらさがどの程度のレベルなのかを判断するためのチェックリストをはじめ、辞めるか続けるかを整理するための考え方、ケースごとの対処法、そして実際に辞めた後のリアルな選択肢まで、順を追って整理していきます。辞めると決めた時の具体的なステップについてもお伝えしますので、今の状況を冷静に見つめ直すきっかけにしていただければと思います。

なぜ「保育士やめたい」と思うのか?よくある5つのサイン

まずは、以下の5つのサインのうち、いくつが今のあなたに当てはまるかチェックしてみてください。

当てはまる数が0〜1個であれば、疲れはあるものの、まだ状況を立て直せる余地が大きい状態といえます。2〜3個の場合は黄色信号で、環境の見直しや誰かへの相談が必要な段階です。そして4〜5個当てはまる場合は赤信号。「もう少し頑張ろう」と自分を追い込むよりも、守るべきもの、つまりあなた自身の心と体を優先する段階に来ているといえるでしょう。

それでは、ひとつずつ見ていきます。

朝起きた瞬間から「仕事のこと」を考えてしまう

目が覚めた瞬間、「今日は例の保護者対応があるな」「あの先生、また機嫌が悪いかもしれない」「連絡帳の記入、また遅くまでかかりそう」といった具合に、一日のタスクや不安が頭の中を占領していませんか。

本来、朝は心も体もいちばんリセットされている時間のはずです。それなのに、布団の中ですでに憂うつさがピークに達しているとしたら、それは仕事量が多すぎるか、プレッシャーが強すぎるか、あるいは「ミスできない」という恐怖感がずっと続いているサインかもしれません。心が常に緊張状態に置かれていると、こうした症状が現れやすくなります。

起きた瞬間に思わず「行きたくない」という言葉が口から出る日が続いているかどうかを、ひとつの目安として考えてみてください。

帰宅後も仕事のことで頭がいっぱいで眠れない

家に帰ってきても、心が仕事モードから切り替わらない。寝る前まで「明日の準備」のことばかり考えてしまう。休みの日でさえ、園での出来事が頭から離れず、「あのときああすればよかった」と反省会が止まらない。こんな状態が続いていると、心にも体にも休む時間がなくなってしまいます。

睡眠の質が落ちると、さらに疲れが取れなくなり、些細なことでイライラしやすくなります。子どもや同僚に優しく接したいのに、それができない自分に対してもつらさを感じてしまう。そんな悪循環にハマってしまうことも少なくありません。

家にいるのに、ずっと頭の中は職場にいるという感覚があるなら、それはかなり頑張りすぎている状態だといえます。

職場の人間関係のことを考えると胃が痛くなる

保育士の悩みの中で、多くの割合を占めるのが人間関係です。園長や主任の機嫌によって職場の雰囲気が変わってしまう、同僚との価値観の違いで毎日モヤモヤする、相談しても「みんなやってるから」「あなたの努力不足よ」と片づけられてしまう。こうした人間関係のストレスは、残念ながら「慣れ」だけで解決することはほとんどありません。

出勤前になるとお腹が痛くなる、園の近くまで来ると動悸がする、苦手な先生の顔が浮かぶだけでため息が出る。こうした体に現れるサインが出ている場合は要注意です。環境を変えることも視野に入れていい段階といえるでしょう。

「自分が悪いのかな」と自分を責めがちになる

保育士はまじめな方が多く、「自分の段取りが悪いからだ」「要領が悪い自分がいけない」「みんなできているのに、自分だけつらいのは甘えなんだ」と、自分を責めてしまいがちです。

しかし実際には、人員配置が足りていない、仕事量に対して残業が前提になっている、サポート体制が整っていないなど、個人の力ではどうにもならない問題が原因になっていることも多いのです。

つらいと感じることは、あなたがダメだということではありません。環境や仕組みに問題があるのに、あなただけが頑張ってカバーしている状態になっていないか、一度立ち止まって考えてみてください。

子どものことは好きなのに、園に行く足が重い

最後のサインは、子どもたちは好きなのに、職場に行くのがしんどいという状態です。

子どもと関わっている時間は楽しい。でも、会議や書類作業、人間関係のことを考えると憂うつになる。保育そのものではなく、職場のシステムに疲れている感覚がある。

この場合は、「保育士をやめたい」というよりも、「今の園で働くのをやめたい」という可能性が高いといえます。

この切り分けができると、保育そのものを手放すのか、それとも園を変えるのか、冷静に選びやすくなります。

「辞めるべきか」「続けるべきか」を整理する3つの視点

「やめたい気持ち」が出てきたとき、感情だけで決めてしまうのも危険ですし、我慢だけで押し込めるのも危険です。ここでは、判断を整理するための3つの視点をご紹介します。

心と体の限界ラインをどこに引くか

まずいちばん大事なのは、「ここを越えたら即ストップ」というラインを自分の中で決めておくことです。

たとえば、朝になると涙が止まらなくて出勤できない日が増えてきた、不眠や食欲不振、頭痛、めまいなどの症状が続いている、仕事以外のことにまったく興味が持てなくなった、「消えてしまいたい」と思う瞬間がある。これらは、すでに心と体がSOSを出している状態です。

このラインを自分の中で明確にしておくことで、「ここまで来たら、まず休職や受診を優先する」「仕事よりも自分の安全を守る」と決めておくことができます。そうすれば、「もう少し頑張らないと」と自分を追い込まずに済むようになります。

「園を変える」のか「職種を変える」のか

次に整理したいのが、今の園を変えるのか、それとも保育士という職種自体を変えるのか、どちらに近い悩みなのかという視点です。

園を変えるほうがよさそうなケースとしては、人間関係に問題が集中している、園の方針がどうしても合わない(詰め込み型の保育や叱責文化など)、サービス残業や持ち帰り仕事が当たり前になっているといった場合が考えられます。

一方、職種を変えることも視野に入れたいケースとしては、子どもと向き合うこと自体が今はしんどい、体力的な負担(抱っこや外遊び、行事準備など)が限界に達している、行事やシフト制の働き方そのものが自分に合わないといった場合があります。

どちらに近いかによって、転職サイトで別の園を探すのか、保育の経験を活かせる別の職種に視野を広げるのか、とるべき一歩が変わってきます。

今のまま続けた1年後・辞めた1年後を具体的にイメージするワーク

おすすめなのが、紙に書いて行う「1年後イメージワーク」です。

A4の紙を2つに分けて、左側に「今の園で続けた1年後」、右側に「辞めて別の道に進んだ1年後」と書きます。それぞれについて、思いつく限りの「良いこと」「不安なこと」を箇条書きにしていきましょう。そして、「そのときの自分の気持ち」を、できるだけ具体的な言葉で書き出してみてください。

たとえば、今の園で続けた1年後の良いことは、子どもたちの成長を継続して見られる、収入は今と同じくらいといったこと。不安なことは、今と同じ人間関係のストレスが続く、体力的な疲れが今より増えているかもしれないといったこと。

辞めて別の園に移った1年後の良いことは、人間関係をリセットできている可能性がある、残業が減って自分の時間が増えるかもしれないといったこと。不安なことは、新しい環境に慣れるまでの不安、給料が少し下がるかもしれないといったことです。

こうして書き出してみると、どちらの不安なら自分は引き受けられそうか、どの未来に自分は少しワクワクするか、が感覚として見えてきます。

決断というのは、不安がゼロの選択をすることではなく、納得できる不安を選ぶことでもあるのです。

ケース別「保育士やめたい」の対処法

ここからは、よくある悩み別に、今できることとその先の選択肢を整理していきます。

人間関係がつらいとき(園を変える前にできること)

人間関係が原因で「やめたい」と感じるとき、いきなり転職を決める前に、まず試してみたいことがあります。

ひとつ目は、物理的に距離をとれる場をつくることです。休憩時間は、可能ならひとりになれる場所に行く。仕事以外で同僚の愚痴タイムに毎回付き合いすぎない。LINEなど、プライベートまで職場の空気を持ち込まないようにする。こうした小さな工夫が、心の余裕を生むことがあります。

ふたつ目は、「全部の人と分かり合おう」としないことです。職場には、どうしても合わない人がいて当たり前です。全員に好かれようとするほど、消耗してしまいます。「この人とは仕事上の最低限の関係だけでいい」「この人とは距離を取ると割り切る」と決めるだけでも、少しラクになることがあります。

みっつ目は、外の世界の価値観に触れることです。同じ園の中だけで考えていると、「ここが全て」「ここでダメなら自分がダメ」と感じやすくなります。他園で働く友人の話を聞いてみる、SNSやコミュニティで他の保育士の声を読んでみる、保育関係のイベントやオンライン座談会に参加してみる。それだけでも、「うちの園が特殊だったんだ」と気づけることがあり、転職や環境変更のハードルが下がります。

ただし、パワハラやいじめがある、人格否定に近い叱責が続いているといった場合は、「頑張って耐える」ではなく、退職や転職も含めて、自分を守る選択を優先して大丈夫です。

給料・待遇に不満が大きいとき(数字で冷静に比べる)

「責任は重いのに、給料が見合わない」「同世代と比べると、どうしても生活が厳しい」。そんなときは、一度「感覚」ではなく「数字」で整理してみましょう。

手取り額だけでなく、基本給、各種手当(処遇改善手当など)、ボーナス、交通費を全部並べてみる。年間ベースで「総支給いくらか」「手取りいくらか」を出してみる。そして、他園や別職種の求人情報を見て、同じ地域、同じ経験年数でどれくらい差があるのかざっくり比較してみましょう。

このとき、家賃補助や社宅制度があるか、残業の多さや持ち帰り仕事の有無、行事の忙しさといった「お金以外の条件」も合わせて見ていくと、お金だけではなく労働条件としてどうなのかが分かりやすくなります。

数字として明らかに見劣りするのであれば、今の園で大きな改善を期待するよりも、条件の良い職場に移るほうが現実的なことも多いです。

心身が限界に近いとき(まずは休む・相談する)

もし今、涙が止まらない、朝起きられない、布団から出られない、食欲がない、眠れない日が続いている、「消えてしまいたい」と思う瞬間があるといった状態なら、「辞めるかどうか」を考える前に、「まず休む」「まず相談する」が最優先です。

可能なら、病院(心療内科やメンタルクリニック)を受診する。仕事を休む選択肢(有給や休職)が取れないか、園に相談する。自治体の相談窓口や電話相談を利用する。「こんなことで相談していいのかな」と遠慮する必要はありません。心と体が壊れてしまってからでは、回復に時間がかかります。

仕事より大事なのは、あなたの命と健康です。そこを最優先にしていいと、自分に許可を出してあげてください。

理想とのギャップに悩むとき(働き方を変える選択肢)

「子ども一人ひとりに寄り添う保育をしたかったのに、現実は常に時間との戦い」「書類や行事に追われて、子どもと向き合う時間が少ない」。こうした理想とのギャップに悩む場合は、必ずしも「保育士を辞める」だけが答えではありません。

たとえば、定員が少ない小規模園や家庭的保育、企業内保育や病院内保育など落ち着いた環境の現場、学童保育や児童館など年齢が高めの子どもと関わる仕事などに変えることで、今の園特有の忙しさから離れられることもあります。

「保育が好き」な気持ちがまだ残っているなら、まずは働き方を変える方向も含めて、選択肢を広げてみる価値があります。

辞めたあとのリアルな選択肢(保育士を続ける・離れる両方)

「辞めたい」と思ったとき、多くの人が不安になるのが「辞めたあと、どうすればいいの?」という部分です。ここでは、現実的な選択肢を整理してみます。

別の園に転職して保育士を続けるパターン

まずは一番シンプルに、職場を変えるパターンです。園の規模(大規模・中規模・小規模)、公立か私立か、運営法人の方針、担当クラス(乳児・幼児・フリー)が変わるだけで、働きやすさがガラッと変わることは珍しくありません。

転職サイトや紹介サービスを利用する場合は、残業の実態(持ち帰りの有無)、有給取得のしやすさ、人員配置とシフトの組み方、給与・賞与・手当などのリアルな情報を、できるだけ担当者から聞き出すようにしましょう。

企業内保育・小規模園・学童など、負荷を下げる働き方

「保育は続けたいけれど、今の働き方はきつい」という場合は、負荷を下げる方向の選択肢もあります。

企業内保育や院内保育は、子どもの人数が比較的少なく、保護者対応もパターンが限られることが多いです。小規模認可園や家庭的保育は、一人ひとりとじっくり関わりやすい環境です。学童保育や児童クラブなら、乳児の抱っこやおむつ替えが減り、体力的な負担が軽くなる場合もあります。

また、「フルタイム正社員」だけでなく、パートや非常勤、短時間勤務(午前だけ・午後だけ)なども含めて探すと、自分の体力やメンタルに合ったペースを見つけやすくなります。

保育の経験を活かせる別職種(例:子育て支援、教育系、事務寄りなど)

「保育そのものは好きだけれど、現場の忙しさはもう難しい」という場合は、経験を活かしつつ、別の形で子どもや保護者とかかわる仕事もあります。

たとえば、子育て支援センターや一時預かり、ベビーシッターや訪問型保育、習い事や幼児教室のスタッフ、保育関連の事務や運営スタッフ、教材会社や教育サービスのサポートスタッフなど。「保育士=保育園だけ」と思い込まず、保育士という資格や経験を活かせるフィールドまで視野を広げてみると、選択肢は意外と多いのです。

いったん非正規・パートで「立て直す」という選択

心も体もヘトヘトな状態で、いきなり新しい正社員の仕事に飛び込むのはハードルが高いかもしれません。

そんなときは、いったんパートや派遣、アルバイトなどで働きながら、生活のリズムと心身の状態を整えて、余裕が出てきてから次のキャリアを考えるというステップを踏むのも、立派な選択です。

「キャリアを一度緩めるのは負け」ではなく、長く働き続けるための戦略的な一歩と考えて大丈夫です。

辞めると決めたときのステップ(伝え方・タイミング)

「やっぱり辞めよう」と決めたあとは、できるだけ自分も相手も傷つけず、スムーズに進めたいですよね。ここでは、基本的な流れを押さえておきましょう。

園に伝えるベストタイミングの目安

法律上は「退職の2週間前まで」に伝えれば辞められますが、現実的には学年の区切り(年度末・学期末)、大きな行事の後、園の人員調整のタイミング(採用・配置換えなど)を目安にされることが多いです。

一般的には、1〜3か月前には伝えておくと、引き継ぎもしやすく、トラブルになりにくいです。

ただし、すでに心身が限界、パワハラやいじめなどが続いているという場合は、自分を守るために「早めに退職する」決断も正当なものです。

角が立ちにくい伝え方の例

退職理由は、すべてを正直に話す必要はありません。本音は「人間関係がつらい」「もう限界」だとしても、伝え方を工夫することで円滑に進めることができます。

たとえば、「一度、自分の働き方や今後のキャリアを見直したくなりました。そのため、来年度からは別の環境で挑戦してみたいと考えています」といった伝え方や、「体調面も含めて、今の働き方を続けることが難しいと感じています。無理をしてご迷惑をおかけする前に、一度リセットして立て直したく、退職を考えています」といった伝え方があります。

「自分の今後を考えての決断」という軸を持ちつつ、「園への感謝」はきちんと言葉で伝えることを意識すると、角が立ちにくくなります。

どうしても一人で伝えるのが不安な場合、家族や友人に事前に練習相手になってもらうのもおすすめです。

退職日までにやっておきたい引き継ぎ・お金の確認

退職が近づいたら、引き継ぎとお金や手続きの確認も忘れずにしておきましょう。

引き継ぎについては、クラスの子どもたちの情報(配慮事項や家庭状況など)、行事や制作の進行状況、連絡帳や指導案などの書類の整理をしておきます。「ここまで整えておけば安心」という状態まで簡単にまとめておくと、自分もスッキリします。

お金や手続きについては、有給休暇の残日数と消化方法、最終出勤日と退職日の確認、社会保険・厚生年金・雇用保険の手続き、退職金や最終給与の支給日などを確認しましょう。分からないことは、遠慮せず事務担当や園長に確認して大丈夫です。

一人で抱え込まないためにできること

最後に、これだけは覚えておいてほしいことがあります。

「保育士をやめたい」と思うのは、あなただけではありません。そして、その気持ちは甘えではないのです。

そのうえで、一人で抱え込まないためにできることを3つご紹介します。

同じ気持ちの保育士の「声」に触れる

ブログやSNS、コミュニティで、同じ悩みを抱えた保育士の体験談を読んでみてください。転職体験談や「辞めてよかった・続けてよかった」のリアルな声に触れるだけでも、「自分だけがおかしいわけじゃないんだ」「環境を変えていいんだ」と思えるきっかけになります。

第三者に相談する・情報収集をはじめる

家族や友人に話すのも大事ですが、保育業界の事情を知っている第三者に相談するのも有効です。転職エージェントやキャリア相談窓口、自治体や専門機関の相談サービス、オンラインのキャリア相談(匿名で利用できるものもあります)などを活用してみましょう。

「まだ辞めると決めていない段階で相談していいの?」と思うかもしれませんが、むしろ決断する前に相談するほうが、選択肢が広がります。

「辞めてもいい自分」を自分で許す

最後にいちばん大事なのは、「辞めてもいい自分」を自分で許すことです。

辞めることは逃げだ、子どもたちを裏切ることになる、周りの期待を裏切ってしまう。そう思うほど、あなたはまじめに向き合ってきた証拠です。

でも、あなたが限界まで消耗してしまうこと、心や体を壊して長く働けなくなってしまうことのほうが、ずっと大きな損失なのです。

「続けること」も、「辞めること」も、どちらも自分の人生を守るための選択肢です。

この記事が、あなたが「どうするか」を決めるときの、心の支えと整理の材料になればうれしいです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました